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好日山荘の机上講習企画で金田正樹さんの「山での傷病者の見方と評価を知ろう」重症度と緊急度についてを聞いて普段、山に行くときはファーストエイドキットなる道具をザックに忍ばせるが、改めて傷病者を前にして評価できるようにすることの大切さを学ぶ。とっさに起きてしまう目の前のことになるべく対応できるようにするにはまずは机上学習も大切だ。あとは現場経験を積むしかない。最近はマウスtoマウスは直接口をつけるのはNGなんですね。ガーゼやマスク、ハンカチなど一枚介して対応するのが安全とのこと。近親者や配偶者ならそこまでしないでも良いかもしれないが、やはり知らない人を助ける場合というのは相手がどんな病気を持っているか分からないのでということらしい。

自己を守る(感染防止など)

  • 直接のマウスtoマウスは避ける(市販のマスク等活用する)
  • 素手の止血は避ける(買い物袋、ビニール袋等活用する)
  • 血液、体液、嘔吐物等に素手で触らないこと。処置中は自身を守ることも大切

出血量と生命

  • 人間の血液量は体重の8%

 体重50kgなら50*0.08=4L

  • 血液量の20%を失う→出血性ショック
  • 30%以上失うと生命が危ない
  • 大腿骨骨折=1000~2000mlの出血あり
  • 胸部出血、腹部出血、骨盤内出血は止血不可。

意識を失う傷病

  1. 外傷(脳挫傷)
  2. 脳出血
  3. 脳梗塞
  4. 熱中症
  5. 低体温症
  6. てんかん
  7. 低血糖
  8. 不整脈
  9. 肝性脳症
  10. ショックなど

重症度と緊急度

  • 重症度:外傷などでどれだけ生命に脅威を与えているかの程度
  • 緊急度:その脅威がどれだけ切迫しているかの時間的尺度

*バイタルサインの悪化は緊急度が高い

雪崩埋没の呼吸困難は緊急度が高いが口に入った雪を取り除き呼吸を再開させれば緊急度が低くなる。

野外ファーストエイドの流れ

  1. 状況評価
  2. 傷病者の観察(初期評価
  3. 傷病者の重症度・緊急度の評価
  4. 傷病者の全身観察
  5. 状態に応じた処置(ファーストエイド)
  6. 搬送手段の決定

*1~6すべてが出来てファーストエイド、処置だけファーストエイドではない。

初期の評価(生命)

  1. 起動:塞がっていないか
  2. 呼吸:呼吸の有無、速さ、深さ
  3. 循環:脈拍、出血
  4. 意識:意識レベル(返答、開眼、痛み反応:JCSで判定する)

ショックの認識は極めて重要!

定義:全身性の循環障害を起こしたために脳や心臓などの重要確認へ十分な血液が
   得られない様々な以上状態。
原因:出血性ショック、アナフィラキシーショックなど
症状:血圧低下(80以下=撓骨動脈が触れない)
   顔面蒼白・チアノーゼ(唇や手足の先が紫色になる)
   皮膚の冷汗・湿潤
   CRT(Capillary Refilling Time:爪床圧迫法)2秒以上
   意識混濁

処置:ショック体位(下肢挙上[かしきょじょう])は必ずしも推奨されない。
   心停止(=頸動脈が触れない)に陥ったら心肺蘇生

初期評価(1)

<

p class=”p1″>傷病者に生命の危機がないか?
→バイタルサイン(”活きの良さ”)をみる段階

  •  C(Cervical spine)頚椎保護
  •  A(Airway)軌道の評価
  •  B(Breathing)呼吸の評価
  •  C(Circulation)循環の評価
  •  D(Disablility)意識レベルの評価

D(Disablility)

意識レベルは、JCS(Japan Coma Scale)の桁数で!

  1. 呼びかけに応答(開眼)=1桁
  2. 痛み刺激で応答(開眼)=2桁
  3. 痛み刺激で応答しない(閉眼)=3桁

呼吸と心臓が止まったら・・・
ドリンガーの救命曲線(蘇生率の曲線)
呼吸停止から5分を超えると急激に蘇生率が低下してしまう

山での心筋梗塞は多い

胸骨圧迫法の目的

  • 脳は心停止が5分経過すると致命的ダメージを受ける
  • 3分で50%程度
  • したがって、胸骨圧迫法は心臓を再び動かす手段だが、脳に血液を送ることが最大の目的

心肺蘇生はいつやめるか?

  1. 有効な呼吸と心臓の動きが戻った時
  2. 二次救命に引き渡す時
  3. 自分に二次的な危険が迫った時
  4. 長時間蘇生を行っても反応がない時

骨折固定のポイント

  1. 骨折部の上下2関節を固定
  2. 回転を抑える
  3. 強固に固定すること
  4. 骨折部はしばるな
  5. 板、段ボール、ストック、枝、フレームなどを束ねて、患肢と固定材料の間にはタオル等のクッションを必ずあてる
  6. 固定がしっかりするまで移動するな
  7. 腓骨神経に注意、丸ひも(ザイル)で縛るな

呼吸から見た外傷

  1. 呼吸困難と胸の異常運動:気胸、血胸、多発性肋骨骨折
  2. チェーンストーク呼吸:頭部外傷
  3. シーソー型呼吸:上気道損傷(正常と全く反対な呼吸対応で舌根沈下の状態)

心筋梗塞

定義:心臓を栄養する冠状動脈が動脈硬化のため閉塞し、心筋が壊死して動かなくなる疾患。
   完全には閉塞せず一過性のものは狭心症と呼ぶ。
症状:突然の前胸部痛、胸部絞扼感(しめつけられる感じ)15分以上続く
特徴:既往歴に狭心症があり、ニトログリセリンを所持していることが多い
処置:ニトログリセリンを所持していれば服用させる
   酸素があれば吸入、早急に医療機関へ搬送、心肺停止に陥ったらCPR!
   AEDを早めに取り寄せておく

アナフィラシー

定義:もともとアレルギー素因があり、原因物質に接触後、短時間でショック状態になる疾患。
   食物(卵・魚・ソバ・ピーナッツなど)、薬剤(抗生物質)、蜂刺されなどによって
   起きやすい。
症状:気分不快、蕁麻疹、呼吸困難、喘鳴、ショックになると意識消失
特徴:原因物質に接触したエピソード後に発症
処置:蜂アレルギーの既往があり、「エピペン」を所持していたら使用する。
   早急に医療機関へ搬送

まとめ

  • 生命>機能>美容(形態)の優先順位。
  • 五感を使って重症度、緊急度を評価する。
  • 頚椎保護>気道>呼吸>循環>意識
  • 呼吸困難と止血は最優先に対応
  • 最後まで諦めずに最善を尽くせ

人間の大切な臓器はすべて水分の中にある。衝撃を抑えるため。AEDは心臓が痙攣しているときに実施すると正常になるようにするもの。停止しているときにしても有効ではない。1時間くらいでダメなら諦めることも必要。止血は最低10~15分間くらいはやること。判断に迷うことがあれば、悪いときを考慮した対応をしておくこと。それをやっていて、無事と分かればそれでいいじゃない。開放性骨折はコネが皮膚を飛び出てしまう骨折。流水は大事だが、バイ菌が入り危険。皮下骨折より緊急度は高い。

外傷は消毒液でなくてもOK。流水で十分である。例えば、500mlのキャップにあらかじめ穴を開けておき、それをザックに入れておく。緊急時にそのキャップに付け替えて流水として使うのも手である。水道水は塩素が入っていて良い。素人なので診断はできないが、評価はできる。なるほど、やれることをやってファーストエイド対策をしよう。こういった話は山に登っても身につくものでもないし、有意義だった。知識と経験の両方をしっかりつけていきたい。

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